個人的経験に基づいて中小企業の請負単価の実情をお伝えします。
現在、開発請負を主事業としている中小IT系企業に営業・企画として勤務しています。
その生の情報をお伝えします。
そのため、サンプルは現在勤務している企業1社です。
ミニマムサンプルですが、Sier、エンドユーザー、下請けなど多くの企業と取引しています。
そのため、市況感は感じて頂けると思います。
1.取引単価
単価は、契約形態と顧客階層で少し変わります。
この4つで単価感は変わります。
こんなイメージです。
①請負+1次請負
上流基本設計フェーズ:90万
SEフェーズ:85万
PGフェーズ:75万
若手枠(1年~2程度の経験):65万
②請負+2次請負
上流基本設計フェーズ:85万
SEフェーズ:80万
PGフェーズ:70万
若手枠(1年~2程度の経験):60万
③準委任+1次請負
上流基本設計フェーズ:90万
SEフェーズ:80万
PGフェーズ:70万
若手枠(1年~2年程度の経験)60万
④準委任+2次請負
上流基本設計フェーズ:85万
SEフェーズ:80万
PGフェーズ:70万
若手枠(1年~2年程度の経験)60万
というところです。
単価の下落はしないよう交渉していること、「階層が2次」「契約が準委任」だとしても
適正価格の企業と取引をすることで維持を図っています。
今後は、SEを100万。これを中央値として上流及びPGの単価を調整するべきと考えています。
新規先提案のベースにしています。
100万でも安いのではと思っています。
2.利益率
それで利益がどれほどかというところが重要です。
で算出します。
売上高総利益率:40%
売上高営業利益率:10%
これは個人別の収益性になります。
全社にまとめると収益率は低下します。
理由は、直接費扱いにしている若手や新卒の研修(稼働せず学習のみ)費用、
請負案件のコスト超過、中長期視点の新規事業への投資。
これらの負担です。
決算月は12月ですので、昨期実績は利益率(経常ベース)は、3%です。
営業利益も経常利益もほぼ変わりませんので、営業利益ベースで見ると
個人別から7%も低下しています。
額で算出すると、80万/月の人材をモデルとした場合、8万/月の営業利益が
2万4千/月になります。▲5万6千円/月も低下することになります。
ここは、経営方針なので判断難しいところですが、人材ビジネスでは頭打ち感もあるし、
採用負担が大きくなるため別の事業を構築することは必要です。
そして、トラブル多い請負化も事業の柱にはきついビジネスです。
ここも脱却したいと考えています。
様々な要因を考えると適正な水準で投資をしていると判断しています。
参考までに、社員規模150名の内、総務・管理・営業の間接人員は17名です。
多い方ではありますね。
3.外注活用
そこで、必要なのが外注の活用です。
予算のついている案件で外注を活用すると、マージン確保できるため、収益向上に繋がります。ビジネスとしては、面白味なく企業の成長にも繋がりにくいですが、目先の収益を確保するために重要なものになっています。
下請け企業は、SEクラスでも60万~70万(PGクラスであれば更に低価格)で提案してくれるので、10万程度のマージンを確保できます。
完全属人的で、人材による良し悪しあることがリスクになりますが、プロジェクトで収益を確保するには、自社社員3名+外注3名。50:50の比率を目指しています。
プロジェクト体制も外注活用は視野に入れて構築していきます。
自社社員だけでは、収益性はかなり悪化します。
それがIT業界が多層の階層構造を生みだし、定着し抜けることのできない要因の一つですね。
まとめ
中小IT企業で1次請けでも人月単価100万には届かない。
90万~80万が相場になる。
外注を使うことで、収益性を確保している。
自社社員だけでは、収益は大きく低下する
ITの請負単価は、ここ20年くらい変動していないのが現状です。
ここに給与が上がらない要因が含まれていると思いますが、ユーザー、受け側共に意識しながら改善することが必要ですね。
参考になれば嬉しいです。
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